”ロボット革命”は日本で本当に起きるのか?その2

 ロボット展で色々 聴講したシンポジウムでは「シンギュラリティ」とか「パラダイムシフト」だとかいうインパクトのある言葉は聞かなかったと記憶している。

あくまでロボット展だから AIそのものの進化と物理的な運動が、どれだけ人間に

近いかたちで変換されるかは、また別の問題だということをロボットエンジニアは

身をもって知っているので、そこに関してはまだ多くを語らず、インテグレーション

の苦労話をまず先に知ってもらいたいのだな、となんとなくわかった。

 

 いわゆる少子高齢化による労働力不足を補う切り札にロボットを活用するというのが

わが国の政策でもある  というのはわかるが、それを最も迅速に活用すべきは

サービス業、労働集約型産業であって、いくら人工知能がトップのプロ棋士に勝ったとしても、それは人手不足の解決にはならない。 もちろん AIが知識集約型産業の

従事者を脅かすのは、確実だが、優先順位と実現の難易度は逆のように思える。

 

 問題は技術開発への莫大な先行投資を誰が負担するのかということだ。

大手自動車メーカーのように、自動運転技術の進捗はその資本力が背景にある。

国内自動車メーカー大手7社の研究開発費が単年で約3兆円らしいが、そのくらい

はかかってもおかしくないだろう。 但し個々のロボットベンチャーには当然

そんな資金はないし、技術導入が最も早く必要とされる業界ー例えば 介護業界

この業界の労働不足は誰もが知るところだが、国の介護ロボット導入支援特別

事業への予算は50億円程度で、その微々たる予算も多分浪費される可能性が

高い。 すでにほとんど福祉用具レベルのものがロボットとして無理やり

拡大解釈されて補助金の適用を受けているものが散見されることから、相変わらずの

垂れ流しの構図がここでも憂慮されるわけだ。

 

 介護の仕事を熟知している人間が、技術をどう進化させて、またどのように

業界に導入させていけばよいのかは知るはずもなく、本来はエンジニアが介護の

現場を実践的に学んだほうが、てっとり早いのだが、それも今のところない話だと

思う。それこそ国に兆単位で予算を投入すれば別だが。

自動車の自動運転技術開発に携わっている人たちは皆普通にクルマを運転している

人たちである。

 

 でも実際、国の介護保険給付の総費用はもうすでに10兆円を超えているし、これから先もどんどん増えていく。 但し、20年先のロボット技術が正しく介護業界に導入されれば、これを半分以下にすることは十分可能だと思う。

 

 私も20数年後には後期高齢者になっている。 将来 医療の進歩で誰もが

介護を必要としないほどの健康を維持できるような世の中になっていれば別だが、

多分老化を著しく遅らせる技術ができたとしても、その恩恵にあずかれるギリギリ

アウトの世代だろうと思っている。

 ただ 現状の延長線上で20年後の介護というものを予測すると、余程の金持ち

でない限り、普通の要介護者は悲惨な目にあうだろう。