介護ロボット 開発の難易度

 以前の記事「ロボット介護の青図」で挙げた、ロボットに代替させたい業務は

おおまかに類別して7つほどになった。

 

 現時点で私の考える限り、その中で最も難易度が低いものは見守りだ。

センサーや画像認識で移動や転倒などの異常などは正確に把握できるようになり

報告が一箇所に集約されるシステムはすでに出来上がりつつあり、その延長線上

には例えば寝たきりのバイタル異常まで察知するレベルまで到達可能に違いない。

 

逆に最も難易度が高いものはというと、食事の提供である。

これに関してはあまりに多岐にわたる作業と個別の対応が要求されるからである。

 

要介護者の運動能力や情緒に直接的に関わる業務

例えば、 移動、衣服の脱着、入浴、排泄など 「行為を物理的にサポートする」

という共通項のあるロボット開発は、技術も共有できるので、核となる技術が発明

されれば、そこからはかなりスピードアップするはずだ。突き詰めれば 認識と

動作制御の問題だ。

また癒し、娯楽などに対するコミュニケーシンロボットやVR型レクリエーション

も現在進行中のものを高齢者むけにブラッシュアップすればよいだけだ。

 

これに対し食事の提供というのは直接関連性のない、多岐にわたる作業の集積に

よってはじめて可能となる。

 献立の作成から始まり、材料の仕入発注、在庫管理、準備、調理、配膳、提供

洗浄、廃棄まで の一連が完結して、これが食事の提供となる。

但し、自力で食事ができない場合の食事介助は上記の「行為を物理的にサポート

する」範疇のものである。

 

またソフトの部分においても健常者の食事と高齢者の食事には非常に大きな相違が

あり、個別対応の複雑さは一般には知られていないが、現在人間が行っている重要

かつ厄介な業務となっている。その具体的内容は後述する。

 

既存の高齢者施設にとっても、当然食事は最大のイベントであり、また最もコスト

の負担が大きいものである。 逆にこれさえ自動化できればその他の業務代替は

後回しになってもよいくらいだ。

 

どんな施設のバランスシートをみても食事にかかわるコスト(光熱費、機械設備の

減価償却を含む)が支出の大半を占めている。無論ダントツで大きいのは人件費だ

が実情は食事コストも半分以上は人件費なのだ。

 

最高難易度の食事提供の自動化が達成されるとすれば、他の業務の自動化は理論上

それよりも早く達成されていなければならない。と言おうかこれが達成されるとす

れば、元々のテーマである「ロボティクス介護ユニット」は、ほぼほぼ実現される

ことになるわけである。

 

というわけで、この最も難易度の高いと予想される食事提供についてさらに考察をすすめていきたいと思っている。